2024年1月実施FP2級学科・実技の講評

fp2級コース 2024年02月08日

2024年1月に実施されたFP2級学科・実技試験を受験された皆様お疲れ様でした。

このページでは、学科・実技試験の講評を行います。

学科試験 全体の講評

近年の傾向通り、全体的に細かい知識が問われている選択肢が各問に登場しており、ごく一部の問題は1級試験で登場する論点・内容のものもありました。しかし、初見の内容が登場する選択肢の中に1つだけ過去に何度も出題実績のある選択肢があるなど、問題を解く際に定番の「消去法」を使わずに正解の選択肢を一発で選べる問題もありました。

また、初見の制度や論点であっても、その制度や論点の特徴や意義、頻出事項との比較に基づく類推をすることで、正解できる出題が増えています。頻出事項の暗記に加えて、初見の内容をその場で類推して正解を導く「余裕さ」を持って試験に臨むことが、より合格の可能性を高めると言えるでしょう。以下は各分野ごとの講評です。

 FP2級の学科試験では6分野から10問ずつ、合計60問出題がされ、36問以上の正解(6割)で合格をすることができます。ただし、確実な合格のためには、より安定した得点が望ましいと考えられるため、本講評ではFPキャンプ学習者を基準とした難易度および目標得点を記載しております。

 

各分野の講評

A分野(ライフプランニングと資金計画 問1-問10)

難易度 標準

目標得点 8/10

各問ごとの難易度の差が大きい印象でした。問4は1級レベルの在職老齢年金の知識が求められる難問ですが、それ以外は概ね標準レベルの内容でした。問9の「総資本回転率」は1級C分野の事項のためその値が不適切であることを見抜くのは困難ですが、他の3つの値の算出方法は完全講義premiumで言及があるため消去法で正解することは可能な出題でした。

B(リスク管理 問11‐問20)

難易度 

目標得点 9/10

細かいかつ2級レベルを超えた出題はほぼありませんでした。B分野は主に保険に関する内容が問われる一方で、保険と税金に関する出題が3問、そのうち2題は法人保険の経理処理からの出題でしたが、D分野で学習する税金分野との関連を意識しながら学習をしていた方にとっては取りやすい問題でした。問11の告知義務に関する出題は、他3つの選択肢が難しいですが、「自発的な告知は不要」という非常に基本的な選択肢の存在に気づければ容易に正解できる問題でした。

C(金融資産運用 問21‐問30)

難易度 標準

目標得点 8/10

各問の難易度の差が大きいA分野と異なり、各問の4つの選択肢の難易度の差が大きい印象があります。不正解となる3つの選択肢が初見の内容や、既存事項の内容を間接的に表現しているなど、判断が困難ですが、正解となる選択肢は何度も出題実績のある内容のため、自信を持って残りの3つを切れるようにしたいです。問30は一見難問ですが、初見のカタカナ語は前後の文脈からある程度意味を決定することができるので、諦めずによく読むと手がかりが得られます。加えて、GDPが国内(×国民)総生産であることが分かっていれば正解できる選択肢の構成になっていたことからも、横文字の単語については学習時点から意味を調べる学習の積み重ねが、初見選択肢への対応・類推力に繋がります。

D(タックスプランニング 問31‐40)

難易度 標準

目標得点 8/10

A分野同様に、各問ごとの難易度の差が大きい印象でした。問34の寡婦控除は直近出題のなかった低頻度問題、問37の1級レベルの知識が問われる法人税の益金算入項目に関する出題以外は標準的な内容と言えるでしょう。問35の青色申告者の特典に関する出題は、純損失だけでなく、対の関係となる雑損失を併せて理解していたかが正解の分かれ目でしょう。

E(不動産 問41‐50)

難易度 

目標得点 9/10

不動産分野は、税金分野や相続・事業承継分野との関連性を意識しながら勉強していた方にとっては、過去に出題された選択肢の登場も多く、非常に解きやすい問題であったと言えます。横断した勉強を行うことで、問47-問49の不動産の税制や不動産の相続に関する出題も容易に正解することができます。なお、FPキャンプ2級コースの学科試験対策である完全講義Premiumのカバー率が最も高かった分野でもありました。

F(相続・事業承継 問51‐問60)

難易度 

目標得点 6/10

今回の6分野の中で最も難しかったのはF分野でした。事業承継分野は日常生活で関連がないということもあるためイメージが湧きにくかったと思われますが、こうした内容であっても、FPキャンプ2級コースの学科試験対策である完全講義premiumでは身近な具体例を交えたほんださんの講義を視聴していれば得点することができます。

問60の会社法からの出題は1級学科レベルの難問ですが、選択肢2の文章が「株主の責任は有限である」の言い換えであることに気づけると、C分野の理解を深めることに繋がるため、分野を超えた復習が本番での不明選択肢を1つでも減らすことに繋がります。

 

実技試験 全体の講評

FP協会の2級実技試験では、計算問題20問、知識問題20問の合計40問が出題され、60点以上で合格です。計算問題はほとんどが標準的かつ、これまでと同じパターンで出題された一方で、知識問題の細かさやこれまでに出題実績のなかった内容の出題により難しかったと言えます。実技試験は計算問題の頻出パターンをFPキャンプ2級コースの実技対策編で学習し、知識問題は学科試験の対策と並行して行うのが効率的な学習と言えるでしょう。

各分野の講評

計算

計算問題20/40問のうち、16問はFPキャンプのパターン演習で対応可能な問題です。キャッシュフロー表計算と係数問題は引っかけ要素もなくいつも通りの出題でしたが、問33の傷病手当金の計算問題で、休業中に支払われた額は傷病手当金から差し引く必要がありました。2019年9月の2級実技試験で出題実績があるとはいえ、5年近く前の内容であるため、金額を答える問題のみ難問と言えるでしょう。問39の在職老齢年金に関する問題は丁寧な誘導をそのまま利用すれば正解できますが、ダミー選択肢もあるので問題文で何が問われているかを正確に把握する必要があります。

知識

知識問題は今まで以上に過去問通りの出題ではなく、難問やこれまで出題実績のなかった論点が一部見られました。問10のマンションの広告に関する出題は宅建レベルの知識が求められ正解が困難と言えます。問12の少額短期保険や、問21の配偶者居住権と配偶者短期居住権は、実技試験で初めて出題された論点であるものの、FPキャンプ2級コースの学科試験対策である完全講義Premiumでは扱われているため、学科試験との横断した学習をしていれば比較的容易に正解できるでしょう。

網羅率

学科試験

FPキャンプ 2級コースによる得点率 86.7%※ (52問/60問)

※FPキャンプ2級コースの完全講義premium内で説明されている事項で、正解肢を選ぶことができる割合を示しております。 

実技試験

FPキャンプ 2級コースによる得点率 75.0%

※FPキャンプ2級コースの実技対策講座~計算編~で説明されている事項および、FPキャンプ2級コースの完全講義premium内で説明されている事項で、正解肢を選ぶことができる割合を示しております。 

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この記事を監修した人 

僧侶FPとやま

1級ファイナンシャル・プランニング技能士/宅地建物取引士。
FPキャンプ1級コースの基礎編対策の問題集や解説、一問一答のメルマガを担当。本業である僧侶としての深い見識から、わかりやすくタメになる情報を発信。