2024年1月実施FP1級学科試験 基礎編講評

fp1級コース 2024年02月07日
 

2024年1月に実施されたFP1級学科試験を受験された皆様お疲れ様でした。

このページでは今回試験基礎編の講評を行います。

基礎編講評

基礎編全体で見ると、法改正や初見問題も多いが、王道問題も多いという印象を受けました。特に法改正から5問出題されるというのは、過去試験よりも出題頻度が多かったと言えます。また過去問に出題されたことのない論点からの出題も見受けられました。

一方で、王道的な問題や2級レベルの問題も多く出題されています。過去問対策やFPキャンプの一問一答集を勉強していた受験生にとっては、自信をもって解答できた問題も多くあったのではないでしょうか。合格のためには、こうした問題を確実に得点源にすることが重要だったと言えます。

各分野の講評

A分野(年金・社会保険)

難易度:やや難
(問1-8)における目標得点:16点中8点

全体的に得点を伸ばしにくい問題が多かったと思います。特に問5,7,8のように、今までの過去問を中心とした演習では手も足も出ない問題があり、ここで失点をしてしまうことはやむを得ないかと思います。社会保険分野は、毎回捨て問のような出題が多いため、こういった問題は気にせず先に解いていくことが重要です。

とはいえ、問2,3については、確実に取れる問題です。FPキャンプの一問一答集にも掲載されている選択肢が多く出題され、ここを落とすと他の受験生と差がついてしまうと思います。

取れる問題を確実に抑え、解けない問題を気にしない。メリハリをつけて解く必要がある分野だったといえるでしょう。

B分野(リスク管理)

難易度:
(問9-15)における目標得点:14点中10点 

B分野は過去問にも出題されている基本的な問題が多く出題されました。問11~15はリスク管理分野の王道的な問題でもあり、2級で出題されるような難易度の易しい選択肢もいくつか見受けられました。

問10においても1級試験の標準的な難易度問題だと言えます。冷静に問題文を読むことで、選択肢を絞り込むこともできたかと思います。

この分野の失点は最小限に抑える必要があったでしょう。合格のためには失点を2問以内に抑えておきたいところです。

C分野(金融資産運用)

難易度:普通
(問16-24)における目標得点:18点中12点

問題17,23においてレバレッジ型ETFの委託保証金と新NISAについて出題がされました。この問題は法改正が論点となっており、対策ができなかったかと思います。計算問題においてもジェンセンのαからの出題で、過去に見たことのない計算問題であったため、正答を導くのは困難だったでしょう。

しかしそれ以外の問題であれば、FPキャンプの一問一答集で見たことがある問題だったはずです。問21のオプション取引の問題は、過去問であれば適切な選択肢を選ぶ形で出題されていましたが、今回試験では適切なものはいくつあるか問われました。日頃四択ではなく、一問一答形式でトレーニングをしているキャンプ生であれば是非得点して欲しい問題です。

過去問で問われている知識を完璧にしていなければ、得点するのは難しい分野だったと思います。しかし裏を返せば、過去問の知識をしっかりと身に着けることができていれば、着実に得点できた分野だったとも言えます。

D分野(タックスプランニング)

難易度:
(問25-33)における目標得点:18点中14点

今回試験で一番解答を導きやすい分野がD分野であったと思います。FPキャンプの一問一答集でのカバー率が最も高かったのもこの分野でした。

問27の損益通算の問題では具体的な数値は出題されずに、控除する順番を理解できていたかが、論点となっています。過去問を解くだけでなく、総所得金額が算出されるまでの全体像を把握できていれば、得点できたはずです。

問33の法人税法上の課税所得を求める問題は、FPの出題論点として初見であり難しかったかと思います。しかしそれ以外の問題は配偶者控除や住宅ローン控除、益金など頻出の論点が多かったです。頻出問題を確実に得点できるかが差がつくポイントであったでしょう。

E分野(不動産)

難易度:やや難
(問34-41)における目標得点:16点中8点

問34~37は、相続登記の義務化や盛土規制法の法改正問題に加え、民法や防火壁まで出題されていました。今回のE分野は宅建試験かと思えるような内容であり、得点が伸びにくかったかと思います。特に相続登記の義務化は試験日には施行されていない法律であり、出題されるとは予想できなかったでしょう。

後半の問38~41になると難易度が落ち着き、比較的に得点しやすかったかと思います。不動産取得の税金について軽減措置まで正確に暗記できている人であれば、得点できた問題でした。

全体でみると、5割は得点したい分野でした。法改正問題は難しいですが、問題自体は制度の全容を理解できていれば解くことができる内容です。試験中に法律の背景や目的を推測できるかどうかが、得点を分けるポイントとなります。

F分野(相続・事業承継)

難易度:普通
(問42-50)における目標得点:18点中12点

問43の成年後見制度は過去10回試験には出題されておらず、久しぶりに登場しました。テキストには掲載されている論点ではあるため、相続分野を網羅的に勉強できていた人であれば正答できたと思います。問46には相続土地国庫帰属法が出題されます。法改正からの出題はこの問で5問目になります。

問題全体で見ると、過去問では出題されているが、頻出ではない論点や苦手意識を持っている受験生が多いであろう論点からの出題が多くありました。死亡退職金や取引相場のない株式の相続税評価、遺留分に関する民法の特例について曖昧な知識のまま試験を向かえた受験生も多いと思います。細かな論点までしっかり把握できているかが、他の受験生と差別化できます。計算問題の2問は、複雑なことを問われていないため、必ず得点しておきたかったです。

基礎編の振り返りと攻略に向けて

今回の基礎編において、FPキャンプの一問一答集をベースとして学習を重ねた受験生であれば、64点は正答を導くことができたのではないでしょうか。また正答を導くことができなくとも、選択肢を絞り込むことはできるため、期待値として70点台を取ることは十分可能であったかと思います。

FPキャンプの一問一答集と完全講義の視聴で、計算問題を除いた200択のうち、55%は適切か不適切かを判断することができます。FPキャンプでベースが出来ている受験生であれば、55%の問題をテンポよく読み解き、残りの問題を時間をかけて考査することができたと思います。

基礎編は、全く歯が立たない初見問題もあれば、自信をもって答えることができる王道問題も出題されます。直近の試験では、王道問題を少し改変した出題が多かったですが、今回試験においては王道問題がそのまま出題されています。こうした問題は必ず得点源にする必要があります。

また、分野の全体像を俯瞰できる能力も必要となってきます。聞かれたことがない角度から出題された時には、如何に体系的な理解ができているか、そしてその知識を応用させることができるかが、得点できるかの分かれ道となります。

3年前までであれば、基礎編40点・応用編80点での合格も可能でした。しかし、応用編の難化に伴い、近年の合格者を見ていると基礎編50点・応用編70点での合格が最低ラインとなっています。今回試験においても最低でも基礎編は50点とれるように準備する必要がありました。 

【1級応用編の講評はこちら】 

FPキャンプについて詳しく見る 

この記事を監修した人 

僧侶FPとやま

1級ファイナンシャル・プランニング技能士/宅地建物取引士。
FPキャンプ1級コースの基礎編対策の問題集や解説、一問一答のメルマガを担当。本業である僧侶としての深い見識から、わかりやすくタメになる情報を発信。